これを日本語で読めますか?(適正化法第一条)

はじめに

このページでくどくどと説明するのも冗長なので端折りますが、spam送信は、インターネットの害悪です。
そして、2002年7月、spamの送信を規制する「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」 (いわゆる「迷惑メール防止法」、ここでは「適正化法」と略します)が施行されました。
この法律を見て(実際は見ておらず、伝聞の生兵法だが)spamを送り続ける人の中には、「法律を守れば(受信者に承諾を得ない)宣伝メールを送っても良い」と強弁する人も多いのですが、それは間違いです。
「適正化法」(と「特定商取引法」)の表示義務を守ったからといって、現在の日本の法律に違反しないだけで、 spam可と言っているものではないのです。
それは、「適正化法」の第一条に、はっきりと書かれています。

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

(目的)
第一条
この法律は、一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、 特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

ところが、これを読めない(読まない?)spammerが続出し、法律施行後は、却ってspam量が増えたのは周知のとおり。
そこで、この「第一条」をちゃんと読んでみよう、というのが、このページの意図です。
私には、法学属性はないので、ひたすら日本語として読み解いていきますのであしからず。 :-)


まずは、大ざっぱに切り分け

「第一条」は、一文ですが、読点で分けることができます。

(1) 主部
この法律は、
(2) 現状
一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、
(3) 方法
特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、
(4) 経過
電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、
(5) 目的
もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

なんだ、単に長ったらしい文章かと思ったら、必要なことをすべて盛り込もうとした結果だったんですね、さすが法律(笑)。


それぞれをよく読んで理解しよう

これで、それぞれが短い文章になったので、意味を捉えやすくなりましたね。
句読点はありませんが、文意を汲み取りながら読んでみましょう。

(1) 主部

この法律は、

ここは、特に説明の必要はありませんね。

(2) 現状

一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、

「特定電子メール」は、同法の第二条の定義によると、『営利団体や利益事業者などから、個人へ宛てられた、電子メイル』です。 spamと同一ではありませんが、spamの中の大部分を指している用語と言えるでしょう(UCE(Unsolicited Commercial E-mail)――許諾なき宣伝メイル――が近いかな)。
一時(いっとき)に、多数の者に(送信)されるというのは、spam問題の一面(bulk mail)を指しています。
ひとくちにspamと言っても、人によって解釈が微妙に異なりますが、この条文の一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールというのは、 総務省なりのspamの表現と言えるのではないでしょうか(特に「等」が入っている部分に、苦心が見られます)。
そして、spamによって電子メールの送受信に支障が起こっている。 支障を看過できないので防止する必要がある。 そこで、これまでの事例などから今後のことを考える(=鑑みる)。 と、述べている訳です。

(3) 方法

特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、

この法律によってルールや罰則を決めることを指しています、問題ありませんね。

(4) 経過

電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、

(2)による支障を、(3)の実施によって、状況の好転を期待しているということです。

(5) 目的

もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

(4)の狙いが成功すれば、(インターネットを含む)情報流通を軸のひとつとした社会生活が、うまく進化していく。 と、謳っている訳です(だから総務省管轄だよと暗示している部分とも言えますね)。


まとめましょう

それぞれの部分が述べたいことは、以上で判ったと思います。
つまりこの「第一条」は、まとめれば以下のようになります(原文の面影はありません(^_^;))。

spamによってインターネットの発展が阻害されている。
この状況を防ぐ必要がある。
そこで、法律により一定の規準を設けることとする。
すなわちこの法律「適正化法」は、spam問題の解消を目的としたものである。

解りましたね?
総務省は、spamは悪いものと定義づけており、決してspamを容認している訳ではありません


注意

この展開は、筆者(高津)が個人的に行なったものです。
従って、必ずしも解釈が正確でない部分があり得ます。
なお、このページでは、spamは、電子メイルによるspam行為(spam mail)のことを示します。


[ トップへ ] [ 法令資料目次へ ]


e-mail address : あ・ら・もーど(高津航) <antispam@blfan.org> (spam送付厳禁)